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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

偽学生証と岡本女史と大麻

                ≪八月二十四日≫    -燦-



  お尻を押さえながらホテルに戻ってくると、偽のIDカードが

出来ていた。


 一人20バーツ(300円)を支払った。


 マレーシア・ホテルのロビーに座っていると、京都大学の学生だと言

う田中君とネパールの衣装で着飾っている岡本女史が顔を見せた。



  田中君は学生らしく、真面目そうな男。


 岡本女史は、どこか気が強そうな、筋金入りの女の子です。


    岡本「朝早くから、何処へ行ってたんです?」


    俺 「お尻に注射を打ってもらいに・・。」


    岡本「ああ、肝炎ですね。」


    俺 「そう。効くかどうか、わかんないけど、一応気が紛れま

         すからね。」


    岡本「そうね。」



  田中「それ、何です?」


    俺 「偽の学生証。」


    田中「そんの作れるんです?」


    俺 「教えてもらって作ったんですよ。これからの旅、列車や

         バスを使いますから、バカになんないんですよ!何しろ

         貧乏旅行ですから。日本人は童顔ですから、学生って言

         ってもばれないらしいんです。それに汚い格好で旅して

         いるの学生ぐらいですから。」


    田中「僕は本物持ってますけど、・・・・わかんないです

         ね。」



  二人共もう少ししたら、日本に帰るのだという。



  暫く話していると、鉄臣を連れて和智会長が姿を見せた。


 夕食は連盟会員6名と岡本女史を加えた7人で外へ出る事になった。


 野郎ばかりに所へ、突然のうら若き女性が加わった所で、やろう共の

奇声が上がった。


 岡本女史、なかなかの美形なのだ。



道路際の屋台に腰を下ろした。


 一時、スコールがあったせいか、椅子が濡れている。


 そんな光景を目にした誰かが、岡本女史が今まさに座ろうとした時、

そっと御尻の下へハンカチをすべらせたキザな野郎がいて、みんなの歓声が

起こった。
妬みの歓声である。


 お陰で、抜け駆けをした本人は、仲間五人の鋭い視線を集めることと

なった。


 一体、誰なんだろう??!!・・・・。



 星の見えない空は、何処までも深かった。


 スコールの止んだ涼しい夜。
 暗い空を見上げながらの食事は、

また格別な趣がある。


 岡本女史が仲間に加わってのビールでの祝杯はまた格別である。



 岡本女史は、女性での一人旅。


 なかなか他人に心を開こうとしない所から、他の人には冷た

い・・・・そして、とっつきにくい印象を与えているが、それも仕方のない

ことだろう。


 彼女は夕食後又、一人部屋に戻って行った。


 日本女性は、旅に出ると女を忘れて行動するやつも多い。


 そんな中、彼女は常に女を忘れたことのない、旅仲間にとっては珍し

い部類の女性ではないか。


 女性を忘れて旅を面白くするのか、女性を意識して面白くない旅を選

ぶのか、女性にとっては頭の痛いところであろう。



                   *



  会長達はもう旅社をチェックアウトしてきたが、マレーシア・

ホテルの部屋をチェックインしないでいる。


    俺 「部屋取ったんですか?」


    会長「お前らがいるのに、勿体無いじゃん!」


    俺 「?ああそうか!」


    会長「一人づつ、お前らんとこへ潜り込むわ。」



  部屋に戻ろうと、皆でエレベーターに乗り込むと同時に、ホテ

 ルのボーイが飛び込んで来た。


    ボーイ「ユー!ガール?ユー!スモーク?」


    会長 「ノー!ガール。ハウマッチ?ガンチャ!」


 ガンチャとは、大麻のことである。


    ボーイ「ワンパースン、50バーツ(750円)。」


    会長 「冗談言うな!NO!10バーツ(150円)にし

ろ!」


    ボーイ「OH!NO!ガンチャ、ベリーグッド!30バーツ

         (450円)でどうだ。」


    会長 「OK!20バーツ(300円)、オンリー20バー

          ツ。」


    ボーイ「OK!」



  会長の厳しい口調に、商談が成立。


 609号室に六人分のガンチャを持ってくるように言いつけた。


    会長「どうせ、質の悪い大麻だから、もっと安くて良いんだけ

         ど。あんまり安く買いたたくと、自分で売っていなが

         ら、警察に通報して二重に小遣いを稼ぐやつがいるか

         ら、注意しないとな。」


    鉄臣「へー!そうなんですか。」



  部屋に戻るとドアのノックが聞こえてきた。


 ドアを開けると、さっきのボーイが立っている。


 クルクル巻きにされた紙を受け取り、120バーツ支払う。


    会長「窓とドアの隙間をガムテープか紙でふさいでくれ。」


    皆 「ええ?どうするんです?」


    会長「煙が外へ出ると通報される恐れがあるからな、お前ら捕

         まりたくないだろ!」


    皆 「ブルブルブル!」



  初めて目にするガンチャ。


 包まれていた紙を広げると、6本のガンチャが包まれている。


 小枝についたままのガンチャで、白い糸でグルグル巻きにしていると

ころなどは、まるで蓑虫のようだ。


 会長がお手本を示す。



            ≪手順は次に示す≫



                                                                          1、タバコを一本取り出して、詰められている葉を先の方か

         ら9割方取り出す。
  
  
    2,グルグル巻きにしている糸を解いて、枝に着いている葉    
         をこすり取る。

  
    3、細かくなったガンチャの葉を、取り除いたタバコの葉の

         替わりに、根気良く詰めていく。

  
    4,ガンチャの葉を詰めたタバコを、人差し指と中指の付け

         根にきっちりと挟む。

  
    5、タバコを挟んだまま、こぶしを握るようにして少し隙間

         を作っておく。

  
    6、手が筒のようになったら、タバコに火をつけ、人差し指

         と親指で作った輪の中に口を押し当て、ゆっくりと大き

         く息を吸い込む。






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